
これまで第1回・第2回では、ブランディングの基礎についてお伝えしてきました。
第3回となる今回は、実際の企業事例をもとに、具体的な取り組みをご紹介します。
自社でも実践できるブランディングのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
【記事執筆】

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社名 太洋株式会社
業種 薬品製造卸売業
廃材に“第二の命”を与え、ブランド価値を再構築した老舗メーカーの挑戦
大阪で75年以上続く薬品製造卸売業・太洋株式会社は、
これまで医薬品や工業薬品を扱うなかで蓄積してきた化学の知識を活かし、
独自の消臭・除菌ブランド「ニオイトリ」を展開してきました。
安全性の高さと確かな効果から長く愛されていますが、
その陰には生産工程で大量に発生する端材を廃棄せざるを得ないという課題がありました。
同時に、消臭剤は「生活の悩みとセット」になりやすく、使っていること自体を他人に知られたくない人も多い――
そんなユーザー心理に深く向き合い切れていないという、ブランドとしての課題も浮かび上がっていました。
こうした状況を背景に、同社は”脱炭素 ”と“ブランド価値向上”を同時に実現する新プロジェクトに着手します。

まず取り組んだのは、廃棄されていた端材を価値ある素材として再生すること。
紙製の消臭剤を製造する際に出る端材は、これまで処分するしかない「やむを得ないコスト」でした。
しかし視点を変えてみると、これは大量の資源でもあります。
「この素材を活かせないだろうか?」そんな問いから、プロジェクトは動き始めました。
同時に見つめ直されたのが、「ニオイトリ」というブランドそのものの価値です。
高い安全性、除菌力、即効性――本来強みであるはずの魅力が、十分に伝わっていない。
消費者にとってニオイの悩みは敏感で、時にコンプレックスにもなりうるデリケートな問題。
だからこそ、「目立たず、さりげなく、しかし確実に悩みを解消する存在であるべきだ」
というブランドの方向性が明確になっていきました。
様々なアイデアの試行錯誤を重ね、プロジェクトで誕生した新製品は、靴の消臭・除菌に特化したアイテム。
一般的な「消臭グッズらしい見た目」ではなく、インテリア雑貨のように空間に馴染むデザインを採用しました。
消臭剤であることを感じさせないやわらかなファブリック素材。
靴の中にそっと入れておくだけで、原因菌からしっかり除菌・消臭してくれる即効性。
外袋は繰り返し使えるファブリック素材にこだわり、中の薬剤は端材を不織布袋に詰めたものを採用。
詰替え用の薬剤を買い足せば繰り返し使えるため、環境負荷も大幅に減らすことができます。
ユーザーは“悩みを隠したい”のではなく、“自然に解消されている状態”を求めている。
その気持ちに寄り添いながら、環境にも家計にも優しいプロダクトへ――ブランドの姿勢が形として現れた瞬間でした。
新しいプロダクトを通じて、同社が見いだしたブランドの核は、
単なる消臭ではなく「暮らしの空間を整え、心地よい毎日をつくる」という価値でした。
●ニオイやカビの不安から解放される安心
●子どもや高齢者、ペットのいる家庭でも使える安全性(使用成分PCMXの安全性が世界的に高水準)
●インテリアとしても成立する美しい佇まい
●廃材を活かすことで環境に貢献するストーリー
こうした価値が一つにつながり、“生活者のQOLを上げるプロダクトブランド”というアイデンティティがよりクリアになっていったのです。
同社は、靴用アイテムの開発を皮切りに、今後はさまざまな生活シーンに寄り添う製品の展開を予定しています。
より上質な空間に向けたハイグレードモデル、住環境や介護領域、ペットのニオイ対策など、
暮らしの幅広い課題を解決するブランドとしての成長が期待されています。
太洋株式会社が目指しているのは、
「ニオイの悩みにはニオイトリ」
と多くの人に思い浮かべてもらえる、暮らしのパートナーとしての地位です。

今回の取り組みには、中小企業こそ参考にできる視点が詰まっています。
●① 弱みも視点を変えれば強みになる
端材は“廃棄物”ではなく、“価値に変えられる資源”でした。
課題そのものをブランドの魅力に転換できる好例です。
●② 機能価値より “情緒価値” にこそブランドの本質がある
消臭すること自体より、
「悩みを知られずに暮らせる安心」
「自然と空間が整う心地よさ」
この感情の変化こそが、ブランド価値を生むということにつながります。
●③ デザインは“気持ちを支える仕組み”
美しい見た目は目的ではなく、生活者の心理に寄り添うための手段。
使う人の気持ちを理解するほど、ブランドは強くなります。
太洋株式会社の取り組みは、
ブランドとは「何をつくるか」ではなく、「どんな未来を届けるか」である
という本質を教えてくれます。
中小企業でも、“視点を変えること”から新しいブランドは生まれます。
太洋株式会社の事例が教えてくれるのは、ブランディングは特別なことではない、ということです。
新しいものを足すのではなく、すでにある価値や課題をどう捉え直すかが、ブランドの出発点になります。
廃材を資源として見直し、機能を体験として再定義する。
その小さな視点の転換が、「ニオイトリ」というブランドの未来を形づくりました。
ブランドは、発信する前に整理する必要があるもの。
まずは自社の中にある“当たり前”を見つめ直すことから、ブランドづくりを始めてみてはいかがでしょうか。

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