columnandmovie_1 (1).png

 

人材育成支援・研修事業を専門とする大阪経営クリニック株式会社の三好です。 前回は、部下の育成につながる「叱り方」のポイントについてお伝えしました。今回はシリーズ最終回として、部下の育成に欠かせない「フィードバック」について解説します。

 

 

1on1、「やりっぱなし」になっていませんか

1on1は、数回行っただけで部下の成長につながったり、信頼関係を築いたりできるものではありません。継続することで、はじめて意味を持ちます。

 

特に注意したいのが、「今月からキャリア面談をやっていくぞ」と意気込んで始めたものの、忙しさに紛れていつの間にか自然消滅してしまうケースです。始めないよりも、むしろ厄介かもしれません。部下からすれば「せっかく期待していたのに、また立ち消えになった」という経験が上司への不信感につながります。

 

1on1を始める時は、継続することまで見据えて取り組む必要があるのです。

 

 

面談で育成していく部下のキャリア

1on1では、部下自身が話したいテーマを優先することが基本です。とはいえ、放っておくと後回しにされがちなテーマもあります。それが「キャリア」です。

 

仕事において、目標達成にはPDCA(目標を立てて、やってみて、振り返って、次に活かす)のサイクルを回すことが重要だとよく言われます。しかし、このPDCAを一人でどんどん回せる人は少ないのが実情です。特にキャリアのような話は、本人にとって大切なテーマであるにもかかわらず、緊急性がないために、日々の業務に忙殺されてつい後回しにされがちです。

 

あなたも、年始に「今年はこれを頑張ろう」と目標を立てたものの、年の半ばにはすっかり忘れていた、という経験はないでしょうか。それくらい、一人でキャリアのPDCAを回し続けるのは難しいことなのです。

 

だからこそ、1on1の場を使って、部下の在りたい姿を一緒に確認し、そこに向かう目標と行動計画を立てていきます。ここで大切なのは、行動計画を決めるのはあくまで部下自身であり、上司はそれを一緒に考え、後押しする立場だということです。

 

例えば「〇〇のスキルを伸ばしたい」という目標と行動計画を立てたら、「3か月やってみて、どうだった?」というように、期間を区切って振り返るとよいでしょう。数ヶ月に一度など、ある程度まとまったタイミングで振り返りの機会を決めておき、1on1で確認すると、自然とPDCAが回り始めます。

 

もちろん、毎回の1on1で目標管理をする必要はありません。基本はあくまで、部下の悩みや不安に寄り添い、話したいテーマを聴く場です。そこにキャリアの目標管理という機能を節目ごとに組み合わせていく、といったイメージです。キャリアの目標管理も「行動に対して、節目ごとにきちんとフィードバックを行うこと」に他なりません。

 

 

伝えたつもりのフィードバック、本当に届いていますか

1on1を通じて目標を立てても、それに対する適切なフィードバックがなければ、部下はどこに向かえばいいのか、このままの道を進んでよいのか分からなくなってしまいます。フィードバックは、単に評価を伝えるだけのものではなく、今後の道筋を定めるものなのです。

 

フィードバックには具体性を持たせるようにしましょう。「よく頑張っているね」で終わるフィードバックと、「先月と比べて、〇〇の対応がずいぶんスムーズになったね」という具体的なフィードバックでは、部下への伝わり方がまったく違います。具体的に伝えることではじめて、「ちゃんと見てくれている」「自分のことを気にかけてくれている」と部下は実感でき、それが何よりのモチベーションにつながります。

 

ちなみにフィードバックの機会は、月1回の1on1の場だけに限定する必要もありません。むしろ日々の業務の中で気づいたことがあれば、その都度ちょっとした一言で伝えるほうが、部下にとっても受け止めやすいものです。1on1は、そうした日々のフィードバックをまとめて振り返り、次の目標につなげていく場と考えるとよいでしょう。

 

人は、自分のためだけではなかなか頑張り続けられないものです。しかし、自分に寄り添い、応援してくれる存在がいることで、モチベーションは続いていきます。適切にフィードバックを重ねていくことは、経営者や上司が部下にとっての"応援団長"になっていくための、大切な一歩なのです。

 

 

面談は、部下と会社の未来をつくる時間

全5回にわたってお届けしてきた本講座も、今回で最終回です。1on1の必要性・効果から始まり、話すテーマ、信頼関係、叱り方、そしてフィードバックと、面談にまつわるポイントをお伝えしてきました。

 

すべてを完璧に実践する必要はありません。まずは気になったところから、ひとつずつ試してみてください。

グループ 2006.svg