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「売上データをExcelに入力するだけだから、5分もあれば終わる」
「お客様への返信メール、定型文だからすぐ書ける」
「請求書の作成なんて、月に数回だし大した手間じゃない」


こんなふうに感じていないでしょうか?


ただ、この「ちょっとした業務」こそが、中小企業の生産性を大きく奪っている正体です。例えば5分の作業を1日に10回繰り返せば50分。年間240労働日として換算すると約200時間にもなります。これは、1日8時間労働で25日分。つまり、丸々1ヶ月分の労働時間が「ちょっとした作業」に消えている計算です。


私たちオモシゴでは、中小企業の現場に寄り添った支援を前提に活動しています。具体的には、AI/DX支援、人材育成で「自走できる組織」づくりをサポートしています。
多くの中小企業では「AIは高額で難しい」「うちみたいな小さな会社には関係ない」と、効率化を諦めてしまっています。その結果、日々の雑務に追われて本来やるべき仕事に集中できない。そんな悪循環が続いているのではないでしょうか。
この記事では、中小企業だからこそ取り組むべき、AIで実現する"ちょっとした業務の自動化"についてご紹介します。

 

【記事執筆】

560_400_omoshigo.png村中督史(むらなか とくし)
広告・デザイン業界で20年以上、編集・ディレクション・営業まで幅広く担当。独立後はBtoBのWeb制作や営業DX支援を行い、2023年に株式会社オモシゴを設立。
「一人ひとりが能力を100%発揮できる社会」を掲げ、企業・自治体向けの生成AI導入や研修、個人の複業キャリア支援にも注力。スキル棚卸し、肩書き設計、発信戦略をサポートし、“選ばれる複業人材”育成に取り組む。非エンジニアにも伝わる言葉で、現場に根づくAI活用を持続可能な働き方を共創している。

 

オモシゴ(だいしんシェアオフィス会員)

 

 

なぜ「ちょっとした業務」が見過ごされるのか

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「これくらいは手作業でいいか」「手作業の方が早い」

この判断が、実は大きな機会損失を生んでいます。

日々の「ちょっとした業務」は、一つひとつは大した時間ではありません。だから優先順位が下がり、「いつかやろう」と後回しにされがちです。しかし積み重なると、年間で数百時間もの時間が失われているんです。

中小企業では特に、目の前の「やらなければならない業務」、 営業、商談、納品、クレーム対応などに時間を取られ、業務効率化まで手が回りません。経営者自身が営業も経理も兼務している状況では、なおさらです。

「うちにはITに詳しい人がいないから無理」 「AI導入には何百万もかかるんでしょ?」 「AIって、大企業が使うものでしょ」このような、思い込みこそが、競争力の低下を招いている根本原因かもしれません。

 

 

中小企業に最適な"低コストAI自動化"

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ここからは、今日からでも始められる、現実的なAI活用の方法をご紹介します。どれも月額数千円から始められ、特別なITスキルは必要ありません。

 

文書作成業務の効率化
議事録、報告書、お客様へのメール... こうした文書作成に、毎日どれくらいの時間を使っていますか? ChatGPTを使えば、「こういう内容で報告書を作って」と会話するだけで、瞬時にたたき台を作成してくれます。
細かい調整は必要ですが、ゼロから書く場合と比べて、文書作成の時間を削減できたと実感いただけるはずです。ChatGPT Plusは$20/月(現時点の為替で約¥3,000前後、地域により異なる)で、十分に実用レベルです。

 

データ入力・集計の自動化
売上データや在庫管理、顧客情報の入力作業などの反復的な作業は、AIと相性が抜群です。Googleスプレッドシートと連携したツールを使えば、手入力していた作業を自動化できます。しかも、既存のGoogleツールを活用するため、追加コストはほとんどかかりません。
導入後、データ入力などに費やしていた浮いた時間を、もっと価値の高い業務に充てられるようになります。

 

顧客対応の効率化
「営業時間は?」「送料はいくら?」「返品はできますか?」
顧客からの同じような問い合わせに、何度も同じ回答をしていませんか? AIを使えば、よくある質問(FAQ)を自動で生成し、問い合わせの一次対応を任せることができます。
担当者は、本当に人間が対応すべき複雑な案件だけに集中できるようになり、対応時間を削減しながら、顧客満足度も向上させることが可能です。

 

導入コストの現実
「結局高いんでしょ?」と思われるかもしれません。しかし、AIはますます便利に使いやすくなっています。まずはAIツールを使うことで、自動化のコツをつかむことができます。うまく活用できるかわからない何百万もする大規模なシステム投資は必要ありません。
ChatGPTやGoogleツールなど、すでに存在する汎用ツールを最大限に活用するため、初期投資を抑えられます。「ITに詳しい人がいない」という心配も不要。AIは急速に進化しています。インターネットでさまざま事例が紹介されていますし、AI自体に活用方法を教えてもらうことができます。

 

 

小さく始めて大きな効果を生む導入手順

分かったけど、何から始めればいいのか?そんな疑問にお答えします。

 

ステップ1: 最も負担感じている業務をひとつ選ぶ

いきなり全部を変えようとしないでください。まずは「毎日やっていて、本当に面倒だな」と感じる業務を1つだけピックアップしましょう。たとえば、「毎朝の売上データ入力」や「定型メールの作成」など、小さな作業で構いません。

 

ステップ2:  負担に感じる理由と理想的な状態を書き出す

その業務がなぜ負担に感じるのかを深掘りします。「時間がかかるから」「ミスが多いから」「創造性のない単純作業だから」など、具体的な理由を明確にしましょう。そして、その負担が解消されたとき、どんな状態が理想なのかを具体的に書き出します。

 

ステップ3: 1ヶ月間トライアルで効果を測定

ステップ2で明確にした「負担」と「理想」をAIに相談してみましょう。例えば、「この定型メールを自動で作成するにはどうすればいいか?」や「この作業の効率を上げるAIツールは何か?」といった具体的な質問を投げかけます。そこで得られたAIで実行可能な方法を、まずは1ヶ月間試してみることをおすすめします。

 

ステップ4: 成功したら次の業務へ展開

ひとつ目の自動化・改善がうまくいったら、次の業務へ展開します。段階的に範囲を広げていくことで、社内に「AIは使える」という実感が広がり、抵抗感も少なくなっていきます。ただし、すぐにうまくいくとは限りません。AIをパートナーとして、まずは日々活用することが大切です。

 

導入の壁を越える

「ITスキルがないから無理」という心配は必要ありません。最近のAIツールは、会話するだけで使えるものが主流になっています。難しいプログラミングの知識は一切必要ありません。

「何から始めればいいか分からない」という場合もまずはAIに聞いてみること。外部の支援サービスを活用すれば、現場と一緒に進めることができます。業界特有の課題を理解した専門家が、実務目線でサポートしてくれるので安心です。

 

 

「ちょっとした自動化」が、大きな競争力を生む

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「5分くらいの作業」「これくらいは手作業で」

そう思っている業務を見直してみてください。その積み重ねが、年間で数百時間もの時間を奪い、本来やるべき仕事を圧迫しているかもしれません。

AI活用は、もはや大企業だけのものではありません。むしろ、少数精鋭で戦う中小企業こそ、一人ひとりの生産性を最大化するために、AIの力を借りるべきだと思います。

少ない投資で始められる、現実的なAI導入。特別なITスキルも、大規模な投資も必要ありません。必要なのは、「ちょっとした自動化」から始めてみよう、という小さな一歩だけです。

その一歩が、持続可能な成長と、競争力のある組織づくりにつながります。今日から、「ちょっとした業務」の見直しを始めてみてください。

 

 

560_400_omoshigo.pngオモシゴ(だいしんシェアオフィス会員)

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