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記事提供:三井住友トラスト不動産株式会社

 

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2025年末、与党税調から2026年の「税制改正大綱」が発表されました。

 

自民党と国民民主党との間で懸案事項となっていたいわゆる“178万円の壁”は、両党の党首会談で所得税の非課税枠を当初の160万円から178万円まで引き上げることで決着したため、大綱は2026年1月開催の通常国会で成立する見通しでしたが、1月23日の招集冒頭で衆議院が解散されたため、税制改正の審議は2月8日の投開票後、新たに招集される特別国会から本格化する見通しです。

 

ちなみに非課税枠が178万円まで引き上げられても、年収が130万円を超えると扶養から外れて社会保険に加入する必要がありますが、契約に明記されていない残業により収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、連続2回まで引き続き被扶養者認定が可能にする等、今後の議論に委ねられています。

 

 

新築住宅に厳しく、中古住宅に優しい住宅ローン控除制度

住宅ローン減税については、2026年から2030年までの5年間は今回の制度維持・延長の方針が決まり、一言で言えば“新築に厳しく、中古に優しい制度変更”となりました。

 

 

新築住宅については概ね2025年までの制度が踏襲されていますが、2025年から適合が義務化された「省エネ基準適合住宅」=断熱等級4かつ一次エネルギー消費量等級4の住宅のみ、控除対象の元本の上限が子育て&若者世帯で3,000万円、それ以外の一般世帯では2,000万円にそれぞれ1,000万円引き下げられています。

 

 

しかも、2028年からは省エネ基準適合住宅を新築しても住宅ローン控除の対象外になるという衝撃的な制度改正も発表されました。

 

2030年には省エネ基準以下となる現行基準の新築住宅は、2028年以降に購入・建築しても住宅ローン控除額は“0円”とする制度変更です。

 

この措置は、カーボンニュートラル実現に貢献できない住宅=建設時に発生する温室効果ガスだけでなく居住開始後も温室効果ガスを大きく削減できない住宅は、住宅ローン控除の対象外とすることで新たな需要を断つ方針を国が明確にしたものと言えますから、住宅性能に関するレギュレーションは今後も順次引き上げられ、住宅ローンの控除額も減額される可能性が高いと考えておいたほうが良いでしょう。

 

 

併せて、2028年1月1日以後に居住の用に供した場合においては、土砂災害や洪水・浸水などのリスクが高い災害レッドゾーン地域、具体的には土砂災害特別警戒区域、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域に新築住宅を建設しても住宅ローン減税の対象外とすることも決まりました。

 

ただし同地域での既存住宅の購入および建て替えは控除の対象となりますから、この点でも新築に厳しく、中古に優しい制度変更と言えるでしょう。

 

 

中古住宅については、まず控除の対象床面積が初めて50㎡以上から40㎡以上へと緩和され(新築は2021年から特例措置で緩和)、控除期間も原則として10年から13年へと延長されました。

 

また、これまで誰が購入しても一律3,000万円が上限だった住宅ローン元本の上限が長期優良住宅およびZEH住宅では子育て&若者世帯で4,500万円へと1.5倍に引き上げられ、一般世帯でも3,500万円へと500万円引き上げられました。

 

 

 

省エネ基準適合住宅は、上記の通り、新築では2028年から控除の対象外になるのに対して、中古は一般住宅=住宅性能非適合住宅と同様の扱いとなって、2028年以降も元本上限2,000万円で10年間(一般住宅のみ10年に据え置かれています)の控除が受けられるようになっていますから、2026年以降は住宅ローンを組んで中古住宅を購入する世帯が大幅に増えるのは確実と考えられます。

 

 

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住宅ローン減税以外の税制改正は?

贈与税については、教育資金の一括贈与に関する1,500万円の非課税枠が2026年3月で打ち切られることになりました。

 

なお、住宅取得等資金に関する贈与税の非課税枠は2024年時点で3年間延長されているため、住宅性能がZEH水準以上の住宅の購入であれば1,000万円、省エネ基準適合住宅の水準以下であれば500万円の非課税枠が2026年12月まで維持されます。

 

 

また、高額所得者については課税強化の方針が打ち出されており(いわゆる“1億円の壁”の是正)、2026年は周知期間として2027年からの適用となりますが、これまで特別控除の基準としてきた年間所得を旧来の3.3億円から半額の1.65億円となったことを受けて“大相続時代の始まり”などと言われるようになりましたが、相続税対策が必要な高額所得者および資産所有者は早急に具体的な対策が必要です。

 

 

さらに、高額所得者が多く運用している貸付用不動産についても、実際の市場価格と通達評価額との乖離を活用することによって、相続税および贈与税が大幅に圧縮されている状況を打開するべく、これも2026年は周知期間となって、2027年1月以降、相続発生時から5年以内に取得・新築した貸付用不動産を時価評価することとなりました。

 

なお時価評価額は購入価格の80%になりますので、2026年までは土地は路線価評価(時価の80%程度)、建物は固定資産税評価(時価の50~70%程度)により算定され、さらに賃貸住宅である場合には土地は貸家建付地として20%程度(小規模宅地等の特例適用が可能であればさらに50%減)、建物は貸家として更に30%減額可能ですから、相続税対策として賃貸住宅などの経営は有利であるとされていたものが、2027年以降は確実に厳しくなります。

 

なお、5年以上前から所有する土地に新築した場合は適用除外となるので、先祖代々の土地などに早めに賃貸住宅を建設しておくのは有効な対策と言えるでしょう。

 

 

一方、このところ社会的問題と位置付けられ始めている“インバウンド需要”および“マンションの短期売買”については、税制改正大綱には具体的な制度について記載がないものの、国内の不動産を外国籍の“非居住者”が売買した際に、これまでは役務提供の効果が国外に及ぶため輸出免税の原則によって非課税とされていましたが、“居住者”との公平性の観点から消費税の課税対象とするよう諮問されており(海外のECサイトでの物品購入に関する消費税負担についても同様)、またマンションの短期売買は、実需に基づかない投機的取引は好ましくないという基本姿勢から何らかの“税制上の措置を含めて必要な措置”を取ると明記されました。

 

具体的には譲渡した年の1月1日時点において所有期間が5年以下の不動産売買にかかる合計39.63%の譲渡所得税の税率引き上げが検討されるものと考えられますが、今後の国会論議が深まれば制度化される方向に進むものと考えられます。

 

 

 

2026年の住宅関連の税制改正は、新築住宅や高額所得者、インバウンド需要や不動産投機目的の短期売買に様々な視点からメスを入れ、住宅性能の一層の向上や相続税対策に関する減税および課税強化方針を打ち出す一方で、中古住宅の購入やマンションの建て替えなど既存住宅には税の優遇を手厚くするという姿勢が貫かれていますから、2026年以降は中古住宅の流通市場が活性化することが確実視されます。

 

 

また、これらの制度変更によって、より健全で公平性の高い税制に移行していくことが想定されますが、住宅市場が抱える課題は税制のみで解決するものではありません。

 

金利動向や円安・人材不足を背景とした住宅価格の高騰にも対応する経済・金融政策の実現が、結果的に住宅市場にもポジティヴな効果を及ぼすことになりますから、実行性のある総合的な住生活支援策の進展に期待したいと思います。

 

 

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