
2026/10/30
会社概要や補助金の申請書にある「事業内容」の欄。いざ書こうとすると、どこまで説明すればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
「製造業」「飲食店の運営」「Web制作」とだけ書けば、業種は伝わります。しかし、それだけでは、誰に何を提供している会社なのかまでは見えてきません。反対に、沿革や想いまで盛り込むと、今度は事業の輪郭がぼやけてしまいます。
本記事では、企業の広報支援やホームページ制作に携わるライターの濱崎(アトリア合同会社)が、事業内容に必要な情報と書く順番を、業界別の例文とともにご紹介します。
事業内容とは、会社が「誰に何を提供しているのか」を簡潔に説明する文章です。ただし、掲載先によってどれほど詳しく記載すべきかは異なります。
たとえば、パンフレットに掲載する文面では、初めて見る人が業種をつかめるよう、1〜2文で簡潔に概要を示す必要があります。他方、自社のホームページでは、どの顧客に向けてどんな価値を提供しているかを添えると、より他社との差別化ポイントを伝えやすくなるでしょう。
事業計画書では、さらに市場や販売方法、業務の流れ、収益の仕組みの記載も必要になってきます。
このように、今から書こうとしている事業内容がどこに掲載されるのかは、書き方に大きく影響するため非常に大切な要素なのです。
掲載する場所によって求められる分量は変わりますが、伝わる事業内容には共通して「誰に・何を・どうやって・どんな価値」という4つの要素が過不足なく含まれています。
まず「誰に」は、対象となる顧客層のこと。個人向けなのか、法人向けなのか。法人向けであれば、どんな業界・規模の企業を想定しているのかまで決めておくと、次の文章がぶれません。
続く「何を」は、提供する商品やサービスそのものです。ここは具体的であるほど良く、「製品」ではなく「金属部品の精密加工」のように、扱っているものが思い浮かぶ言葉を選びます。
「どうやって」では、提供方法や対応エリア、強みとなる技術や体制を添えます。「自社工場での一貫生産」「全国対応のオンライン相談」など、他社との違いが見える情報があれば、ここに入れ込みましょう。
最後の「どんな価値」は、顧客がその商品・サービスによって得られる結果です。「コストを削減できる」「短納期で対応できる」など、顧客側の言葉で言い換えられると、事業内容がぐっと伝わりやすくなります。
実際にこの型へ当てはめると、以下のような文章になります。
一文で伝える場合:「当社は、産業機械メーカー向けに金属部品の精密加工を行い、試作から量産まで一貫して対応することで、部品調達の負担軽減を支援しています。」
詳細に伝える場合:「当社は、産業機械メーカー向けに、金属部品の精密加工を手がけています。図面をもとにした切削加工から検査まで自社で一貫して担い、少量の試作品から量産品まで幅広く対応可能です。複数の工程をまとめてお任せいただくことで、発注先の選定や工程ごとの納期調整といった、部品調達にかかる負担をまとめて軽減できます。」
一文版は会社概要や名刺代わりの説明に、詳細版はホームページや事業計画書に活用するイメージです。
ここからは、業種別に事業内容の例文を見ていきましょう。
製造業の場合:「当社は、自動車部品メーカー様向けに、精密プレス加工による金属部品の製造を行っています。金型設計から量産までを自社一貫体制で対応し、小ロット・短納期のご要望にもお応えしています。」
小売・飲食業の場合:「当社は、地元の食材を使った家庭料理を提供する飲食店『〇〇』を経営しています。忙しい共働き世帯のお客様に向けて、お持ち帰り惣菜の販売も行い、日々の食卓をサポートしています。」
IT・専門サービス業の場合:「当社は、中小企業の経理担当者様向けに、クラウド会計ソフトの導入支援とその後の運用サポートを行っています。導入時の初期設定から月次のデータ確認まで伴走することで、経理業務の属人化を防ぎます。」
いずれの例文も、「誰に」「何を」「どうやって」「どんな価値」が、無理なく盛り込まれていることがわかるでしょうか。
反対に、わかりにくくなりがちなのが、「幅広い業種に対応しております」「高品質なサービスをお届けします」だけで終わってしまう文章です。どんな業種に対応しているのか、何をもって高品質なのか、読み手にはまったく伝わりません。具体的な業種名や、品質を裏付ける実績・数字を添えるだけで、印象は大きく変わります。
また、専門用語を並べただけの文章や、複数の事業を脈絡なく羅列しただけの文章も避けたいところです。事業が複数ある場合は、「主軸となる事業」を明確にした上で、他の事業は補足として位置づけると、全体像が把握しやすくなります。加えて、「将来展開したい事業」と「現在すでに行っている事業」を混同して書いてしまうケースもよく見られます。構想段階のものは、「今後は〜も予定しています」など、時制を分けて書くようにしましょう。
なお、会社概要用と事業計画書用では、書き分けも意識したいポイントです。会社概要では「金属部品の精密加工」のように簡潔に、事業計画書では「金属部品の精密加工(自動車部品向け、月産〇〇個規模)」のように、規模感まで示すと、読み手の判断材料が増えます。
事業内容は、「誰に・何を・どうやって・どんな価値」の4つを押さえるだけで、格段に伝わりやすくなります。まずは一文で説明できるかを試してみて、そこから掲載場所に応じて肉付けしていくのがおすすめです。
もし、事業内容だけでなく、会社としての強みや歴史まで伝えたいという場合は、「会社紹介文の書き方」の記事もあわせてご覧ください!
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