
国税庁が、相続税や贈与税の算定基準となる2026年分(令和8年分)の路線価を公表した。
路線価は1月1日を評価時点として一年間の地価変動を考慮したうえで、国土交通省が公表する公示地価の80%程度を目途に定めている。今年の全国平均は2.9%上昇と、前年から0.2ポイント拡大して5年連続で上昇した。現在の算出方法になった2010年(平成22年)以降で最大の上昇率となった。
地価が大きく上昇した背景として、活発な不動産投資や、為替の円安を追い風にインバウンド(訪日外国人観光客)が増加し、消費や投資をけん引している。2025年の訪日外国人観光客数は4,268万人と、コロナ禍前の2019年の3,188万人から1千万人以上増加し、2年連続で過去最多を更新している。消費が回復してきたことで、商業施設やホテルの出店需要が増加している。テナントの需要が高まると賃料が上昇するため、繁華街や観光地を中心とした地価の上昇にも繋がっている。長野県白馬村、野沢温泉村、北海道富良野市など国内有数のリゾート地や観光地も大きく上昇した。
マンションや住宅需要も高まるなかで、日本では新型コロナウィルスをきっかけに海外ほどテレワークが普及しなかったため、通勤や通学に便利な利便性の高い立地に人気が集中している。しかし市中心部の土地が急上昇しており、割安感のある土地を求めて需要が郊外へと広がっている。更に慢性的な人手不足を解消するための福利厚生の一環で、好立地のオフィスへ移転する流れも都心の地価上昇を後押ししている。今後の懸念材料としては、建築費の上昇が不動産投資にブレーキをかけており、土地の購入代金と建築費に見合った賃料を確保できるかが、今後の土地の流通に影響を与える。

■全国平均は前年比2.9%上昇と、5年連続で上昇した。
■現在の算出方法になった2010年以降で最大の上昇率となり、3年連続で過去最高を更新した。
■県単位の傾向 上昇は36都道府県で、昨年より1県増えた。
上昇率トップは東京都の9.4%。東京都、沖縄県、大阪府は伸び率が5%を超える。
■都市単位の傾向
①都道府県庁所在地の最高路線価はバブル期だった1991年の公表分以来、35年ぶりに下落がゼロ。
②上昇率トップは佐賀市。44都市で前年を上回り、駅前で再開発が進む盛岡市、さいたま市、東京都区部、観光需要が復活した奈良市など5都市は上昇率が10%を超えた。金沢市、神戸市、京都市など11都市の伸び率は5%を超える。
③前年からの横ばいは、青森市、津市、鳥取市の3都市。
札幌市、さいたま市、千葉市、東京都区部、大津市、京都市、神戸市、奈良市、岡山市、広島市、佐賀市等は都道府県の上昇率より県庁所在地の最高路線価の上昇率のほうが高い。今後は利便性の良いエリアへの人口集中が加速していく。そのため人口獲得のための魅力づくりという都市間での競争に加えて、ミクロな地域間での人口移動により成長格差が広がっていくと考えられる。


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(情報提供:株式会社東京カンテイ・監修/三井住友トラスト不動産 企画部)
記事提供:三井住友トラスト不動産株式会社